イノベーションするには?
よくイノベーションが必要だといわれるが、じゃあどうしたら起こせるのだろうか?
伊賀泰代さんの生産性という本を見ると、イノベーションには、技術的なイノベーションと、非技術的なイノベーション(ビジネスイノベーション)があり、私たちがイメージするイノベーションは技術的イノベーションにあたり、ニュートンが万有引力を発見するようなことがこれにあたる。
しかし、伊賀さんは、ビジネスイノベーションがもっと日本で起こってもいいのではないかといっており、そのビジネスイノベーションとは、問題意識と画期的な解決法への強い希求心の2つが必要と言っています。
これは、社員に問題認識力=課題設定力とその問題を一気に解決したいという強い動機づけを持たせることが不可欠になり、これがまさに「Motivation for innovation」であり、そのために大きな役割を果たすのが「生産性という概念を日常的に、強く意識させておくこと」といっている。
そして、思考は制限が設けられると、それをバネにして、「今いるところとは異なる次元」に入っていくことができる、という。
たとえば、建築家が、広大な土地を与えられ、予算も無現、期限もないといわれたときに1番いいアイデアがでるわけではない。現実の建築案件にはいろいろな制約条件がある。その制約の中でいかにいいものをつくるかという挑戦こそが新しい発想につながるということのようだ。
このビジネスイノベーションは、たとえば、貨幣制度の確立、取り引き所の確立、戸籍、住民票制度、裁判制度、株式会社=有限責任制度など、ですが、こういったイノベーションが日本に足りないと伊賀さんは言っている。
そして、Time for innovation として、会社でイノベーションのための時間的な確保も必要であるといっている。
イノベーションににも技術的、非技術的の2種類あり、その中身もちがいます、しかし、イノベーションをするには生産性を飛躍的に向上させる、そして生産性を向上させるための強い希求心が必要だとわかった。
そして、次はどのあたり、どの分野、何をすればいいか、その答えらしきものが、山口栄一著「イノベーションはなぜ途絶えたか」に記載があった。
この本のイノベーションとは、前の伊賀さんの技術的イノベーションにあたるものであるが、何をしていくかというと、これは勉強しかないと思うが、そのヒントというか答えが書いてありました。
この本は、日本のイノベーション不足をいかに回復させるかを記載している。
つまるところ解決法は、リストラされる、優秀な技術者、科学者を、イノベーターとして、起業させる、というもだ。
その優秀な科学者、技術者というのは、博士を意味する。それぐらい、深く勉強した人々がイノベーターになることができる、という。
そしてアメリカで、行われているSBIR制度がうまくいき、日本のSBIRがうまくいかない違いを記載している。
ようは、日本の場合、補助金という規制があり、自由にそのお金を使えないことにより、うまくイノベーターが育たない、といっている。
アメリカは、「イノベーションはサイエンス型ベンチャー企業から生まれる」という画期的な基本理念がある。
そして、「スモール・ビジネスこそがイノベーションを起こす」という思想が、アメリカのサイエンス型産業の興隆を成功に導いている。
そして、SBIRで起業した科学者は、物理学、化学、生命科学というコア学問出身者が最多数を占めていた。
ということは、イノベーションを起こすには、化学、物理の博士クラスの学力が必要である、ということだろう。
そして、この本の中には、基礎的な分野の知識がかなり必要で、そこでの研究と、そして、学問間の横断があればなおいいとも書いてある。
ips細胞の中山さんも分野の横断的な研究をされておりその中で、ひらめきがあったとも記載されている。
社会の表面に現れている研究ではなく、表に合われない基礎的な研究や暗黙知が大事で、その部分をきたえていくのが、イノベーションには必要とある、ようだ。
暗黙知の部分はかなり高度な濃密なものだろう。
しかし、最終的には、基本の知識、分野を学習していくということだろう。
現在、日本の基礎研究は経費削減で減少している、そして、当然、重要な化学・物理分野の論文数も減少している。
この辺が著者が危惧している。
何事も、基礎部分が重要だとわかったし、今後のことを考えると、化学、物理、生命科学は外せないということだ。