自分の力を見極めるについて
自分の力を見極めることが大事なことは当然であるとはよくわかっている。
なぜなのかを考えると、現在インテリジェンスな職業の世界では、ある程度のキャリアの人間に上司が仕事をふる場合、上からの命令だからと無理にやらせることはないといわれています。原則として部下がその仕事なら十分こなせると応え、納得したうえでなければ仕事を任せないのです。
というのは、インテリジェンスな職業の世界においては重要な案件になればなるほど、時には自分の命がかかったハードな仕事になる。その時現場で担当する人間が無理やりやらされていやいやながらやっているとか、びびりながらやっているという状況では、失敗する確率が高くなる。
皆がそういうことを知っているので、この世界では無理強いの仕事はさせない、というのが基本的な姿勢になっているということです(人に強くなる極意(青春出版社)佐藤優著) 。自分ができる仕事と、できない仕事を客観的に理解していることが重要ということのようです。
そのためにも、常日頃から多少負荷がかかる仕事をこなして、自分の限界を知っておく必要があります。
しかし人間は「自分を大きく見せたい」という意識があります。
京都大学医学部出身で少年院の監察医として働いている岡田尊司先生が、「マインド・コントロール」(文藝春秋)という本で、少年院で少年犯罪をみていると、ある共通点があることに気がつく。カルトとか暴力団とは暴走族に入って法を犯す人の多くが、そういう組織の中である種のマインドコントロールを受けているということをいっております。というのも、そういう組織には独自のルールができあがっていて、そのなかで評価されるために自が進んで犯罪的な行為に走るという構図がある。
法を犯す人の心理を探ると、多かれ少なかれそのようなマインドコントールが影響しているといわれますが、それは決して反社会的な集団や犯罪集団の中だけに見られることではない。いまの世の中にもよくある構図だと岡田氏は指摘されています。
社会がフラットになれば、それだけ競争社会が生まれることになります。
偏差値社会、学歴社会もその1つです。そのため、自分を大きく見せようとうそをつき、より問題を複雑にしてしまいます。
だから、解決策は、約束を守るということや、制約を少なくし、シンプルな生き方にすることを偉人は勧めているということです。
自分自身を客観的にみるということは、結構難しいことかもしれません。子供は親の鏡といわれますが、逆をいえば自分の鏡は親ということもいえる。そうするなら、親をつぶさに観察し自分がどういう人間かを考えるのがいいのではないでしょうか。自分は親がやっていることを黙って第3者の目で観察した時がある。特にすごい能力もなかった、しかし、一般的な親だったというがよくわかった。そのことで、生きやすくなったのはたしかである。