「マーケットデザイン」坂井豊貴著を読んで

「マーケット(市場)」の「デザイン(設計)」を意味するマーケットデザインは、近年急速に発展している経済学の分野である。

さらに特筆すべき点として、この十数年ほどで、マーケットデザインを通じて提案された具体的な制度が、ほぼそのままの形で現実に応用され始めている、という現象があげられる。すでに世界各国で実施されている、電波周波数帯を割り当てる電波オークション、臨床研修医マッチング、公立学校の学校選択制、臓器移植の交換プログラムなどがその代表例である。

また、マーケットデザインは腎移植マッチングなどで、他の国では使われ、大きな成果を上げています。だだ感情的な部分は危惧するところはありますが、例えば、私はこの人に腎臓をあげたい。と考えても、マッチングの結果、他の人に腎臓を提供することになるなど、です。ですがマクロ的に見れば、より多くの人に腎臓を移植できる結果となる。その辺の部分をどう解決していくのかが問題でしょう。(「マーケットデザイン」坂井豊貴著)

腎移植の概要は、1年間に腎臓移植が年間約1300百例(約85%が生体腎移植)おこなわれています。

最近では、糸球体腎炎より糖尿病が悪化して腎不全になる方が多くなっています。

透析治療が進歩したとはいえ、長年にわたる身体への影響は大きく、生存率は移植と比べ 透析治療はかなり下回っています。

5年生存率血液透析60.4%、生体腎移植92.8%、死体腎移植84.5%。(日本移植者協議会 http://www.jtr.ne.jp/isyokutoha/genjyo.html )

平成 27 年 10 月 1 日に改定された日本移植学会の腎移植についての倫理指針を見てみましょう。

親族に限定する。親族とは6親等内の血族、配偶者と3親等内の姻族をいう

と書かれています。そして次に、親族に該当しない場合においては、当該医療機関の倫理委員会において、症例毎に個別に承認を受けるものとする。その際に留意すべき点としては、有償提供の回避策、任意性の担保等があげられる。

と続きます。この倫理指針は「親族に該当しない場合」も扱っているので非親族間の移植を妨げてはいません。しかし腎移植マッチングは非親族間の移植を前提とし、しかもそれに組織的に取り組むので、この倫理指針はかなり相性が悪いものだといってます。

しかし何にせよ、いま現在、日本を含む全ての先進諸国で臓器売買が全面的に禁止されているのは紛れもない事実です。そして多くの人はそれを支持します。そして、臓器売買には拒否感を持つが、患者とドナーの組み替えは許容できるという人は多いということです。

なんとか、1人でも多くの人が移植をうけられるようになるといいと思います。



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