スモールワールド性について

山火事の場合、どこかで発火すると、近くの木に燃え移りながら火が広がっていきます。金融の場合には、森林のように近くの危機が目にみえるというわけではありません。しかし、金融上の様々な「つながり」は、山火事との類似点があります。金融ネットワークは、実際の山火事のような、実際の距離とは関係ありません。相互につながりがあるかないかだけが問題です。どこかの金融機関で事件があると、つながりのある他の金融機関に影響が出ます。山火事と同じように、火が広がっていくわけです。金融機関同士が密接に結び付けば結びつくほど、1か所の事件が全体に影響を及ぼす可能性も高まります。こんどは、社会ネットワークの研究をみると、これまでの研究によれば、人間同士のネットワークは「スモールワールド性」と呼ばれる性質を持っています。多くの人同士が、平均すると6~7人程度の隔たりしかないのです。勝手に選んだ2人、の知り合いまたその知り合いを調べ、ということを繰り返すわけです。そして、2人がつながったところでその隔たりを平均すると、約6人ということがわかりました。つまりたった6人の知り合いを経ただけで、まったく知らない2人間がつながってしまう可能性が高いのです。こうした傾向がみられるのは、人間関係だけではありません。無作為に選んだ2つのブログが何クリックでつながっているのかを調べた結果です。この場合、一番多いのが6クリックで、平均はこれよりちょっと多くて6.84。つまり、どんなブログとブログでも、6クリックでつながっていることが最も多く、平均すれば7クリックでつながっているということになります。もし、こうしたつながり方が金融機関のネットワークにも適用できるのだとしたら、「1か所の金融機関で起きた事件が、全体に広がる可能性はかなり大きい」ということになります。(ウソを見破る統計学 神永正博より)



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