空洞化について
「空洞化」とは「一国の生産拠点が海外へ移転すること(海外直接投資)によって(あるいは、それに伴う逆輸入の増加によって)。国内の雇用が減少したり、国内産業の技術水準が停滞し、さらには低下する現象」であるとされています。その意味で、「空洞化」とは、まず国内雇用の減少、すなわち雇用の空洞化を意味します。さらに国内技術水準の停滞、もしくは競争力の低下、すなわち技術の空洞化ということになります。そしてこれに付け加えるのであれば、本来日本に還流すべき資金が海外に向かってしまうという資金の空洞化となります。これら3つが「空洞化」への懸念の総体であるとみることがあります。(空洞化のウソ 日本企業の「現代化」戦略 松島大輔著)
そこで、日本の状況をみると、海外事業における日本企業の課題とバリューアップ実現のためのアプローチ( https://home.kpmg/jp/ja/home/insights/2018/09/value-up-20180914.html )をみると、海外収益比率33.7%(2013年)、36.7%(2017年)となっており、海外収益の比率が2016年は下がりましたが、相対的に年々増加している。海外売上率比率では、39.2%(2017年)となっている。2016年度の決算短信および有価証券報告書で所在地別セグメント情報を開示している日本企業の海外売上高比率は56.5%という高水準に達しているとのことです。
そして、このことによって空洞化はおこっているのかということですが、
国内雇用と労働者構成への外国直接投資の効果( https://www.rieti.go.jp/jp/publications/nts/12e069.html )をみると、海外直接投資により、空洞化はおこらないといっている。従って、これは、海外直接投資によって、国内の雇用は減少しない、逆に雇用成長率を12%押し上げるといっている。
私としては、国内から国外に、生産拠点を変えたら、当然、作業員等が必要なくなり、管理部門だけが必要になり、雇用も減少するように感じるし、管理部門だけになれば、技術も低下すると考えられます。そのことが、雇用は減少しないかわりに賃金抑制の力がはたらき賃金が上がらない要因にもつながっているように考えられます。
なんとなくしっくりこないなという感じです。