検察官による訴追について
検察官による訴追
事件の送致を受けた検察官は、その事件について、被疑者を訴追するかどうかを判断し、それについて決定します。被疑者が罪を犯したと認めなければ起訴はされません(これは不起訴になります)。また、たとえ罪を犯したと認められても、犯人の性格や年齢・境遇、犯罪の重さや情状、犯罪後の状況から訴追を必要としないと判断されるときには、検察官は起訴しないことができます(これは、起訴猶予になります)。つまり、被疑者が罪を犯したと判断される場合であっても、その被疑者を訴追することが検察官に義務付けられているわけではなく、訴追するかどうかについては、検察官に裁量が認められるのです。このように検察官に訴追についての裁量を認めることを、起訴便宜主義と呼ばれています。(刑法入門 山口厚著より)
平成28年犯罪白書( http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/63/nfm/n63_2_2_2_3_0.html )をみると
平成27年に検察庁が処理した刑法犯の内訳を見ますと、77,268人が起訴、 78,467人、120,522人が不起訴、78,467人が起訴猶予になっており、起訴率 39.1 % 起訴猶予率 50.4 %となっています。
また、検察官の不起訴処分について、被害者又は、告訴人が、捜査又は公訴提起によって受ける利益は、公益上の見地にたって行われる捜査又は公訴の提起によって反射的にもたれされる事実上の利益に過ぎず、捜査機関による捜査が適性を欠くこと又は検察官の不起訴処分の違法を理由として、国家賠償法に基づく損害賠償請求をすることはできないとなっています。(最判平成2.2.20)