不耕起栽培について

田んぼを耕さない米栽培。養老さんは、不耕起栽培、つまり耕さない農法について知ったのは、アメリカの科学雑誌の日本語版を読んだのがきっかけでした。当時アメリカでは、農業の1割がすでに不耕起になっていたそうです。耕さなくてすむなら、じゃあ今までの農業はなんだったんだ、という・・・・。といっています。

そして、岩沢さんという実際不耕起栽培を行っている人は、今ではアメリカは全耕地の50%以上が不耕起栽培のようですね。アメリカの農業に大型機械が導入されたことで、畑の表土が失われてしまったのですが、耕さなければ土に粘性を与えるグロマリンが働くことがわかって、この農法が広まったそうです。また、岩沢さんは不耕起栽培に取り組むようになったのは、オーストラリアで行われている「乾燥地農法(ドライ・ファーミング)」について書かれた論文を読んだのが、1つのきっかけでした。あちらに帰化した日本人が考え出した農法なのですが、これをやると、10アール当たり800~1000キログラムのコメが採れると書いてありました。この農法では、降水量の少ない砂地に地力をつけるために、前年にクローバーを栽培します。クローバーなどマメ科の植物の根には根粒金と言う菌がいて、空気中の窒素を地中に固定するので、窒素肥料を与えるのと同じ効果をもたらすからです。といっています。(日本のリアル農業、漁業、林業、そして食卓を語り合う 養老 孟司より)

不耕起栽培とは。

世界 的な規模 で そ の 他 の 地 域 で も土 壌侵食 が 深刻化 し て い る 。農地 を 裸地 に しな い こ とが 、土 壌侵食 を 防 ぐの に  効果があ る ことが分かっているようである 。不 耕起栽 培 で は 、残留物 に よ る 表面被覆率が 30% 以 上 に な り、風蝕 や 水蝕に よ る 土壌侵 食を防止 す るか らで ある。 土 壌 を 耕起す る 目的 は、 雜 草 の 防除 、モ ノ カ ル チ ャ の 維持、高い 施 肥効率 水 の 吸収 を 高 め る 、害の 防 除、 圃場 が きれ い に な り人 間 に 快適 感 を与 え る な どが 挙げ られ る。耕起 は そ の 中で も特 に 雑 草 の 防除 に 深 く関わ っ て い る 。1940 年代 以 降 の 除 草剤の 急速 な進歩に よ り、雑 草 の 防 除が 可能 とな り、不 耕 起 栽培技 術 が 多 くの 地域 へ 広が っ て い っ た 。即 ち 、不 耕起 栽培 とは,石器時代後 期 の 人 類、日本 で ぽ 縄文人,150〜 200 年 程前 の ア メ リ カ ・イ ン デ ア ン 、現在 で は南米 ア マ ゾ ン の イ ン デ オ や ボ ル ネ オ 島奥地 の 原 住 民 な どが 行 っ て い る手 や棒 で 土 に 孔を あけ、そ こ に 種子 を蒔 く古代 の 農 法 と、除草剤や 化 学肥料を 生 み 出 した 近代科 学を駆 使 した 現 代農法 との 合 体 に よ っ て 、は じめ て 可 能 とな っ た 新農法 で あ る と言 え るようである。

不 耕起栽 培 の 収量 に つ い て は 、UNGER ら が 多 くの 研究デ ータ か ら、良好 な 栽培条件 で は プ ラ ウ (トラクターの作業機)耕 の 収量 と ほとんど 差 がな い と結 論付 けて い る。

 不 耕起 栽培 で 増 収 する理 由 と して 、 土壌の 流亡 が極 め て 少 な い 、土 壌 水 分 の 保 持効果、土壌 有機 物量 の 増加 に よ る土 壌 の 物理 性の 改善 、 ミ ミ ズ 等 の 土壌動物 に よ る 土壌構造 の 改善 、 特 に 熱帯や亜 熱帯 地域 に お け る 地 温の 抑制効果な どが挙 げられ て い る 。

他 方、不 耕起栽培 で 収量が減少 す る と し た 報告 もあ る。こ れ は 半 湿潤お よび 湿潤地 域 に 多 い 。

不 耕起 で 減 収す る理 由 と して は、出芽が 不 安 定 の た め 単位 面積当た りの 個体数 の 減少、雑草 との 競 合 、低 温 が 問 題 に な る地 域 で は 、土壌表面マルチ(土壌表面を覆う) に よ り地温 の 上 昇が 抑 制 さ れ 発芽 に 障害、排 水能 の 底 い 圃場 で は表 層 で の 水分 過多 に よ る 湿害、 土壌 の 物 理 性 の 悪化に よ る根の 生育抑制な どが 挙 げ ら れ て い る。

わ が 国 の 不 耕 起栽培の 歴 史 ぽ 新 し く、多 くの データ が あ るわ け で は な い が 、収量が 増大 した 事例 と し て は 、北海 道 の 重粘土 の 春小麦 ・エ ン バ ク ・飼 料用 ト ウ モ ロ コ シ 、 お よび 牛厩肥施 用 の 大豆 な どが あ る,しか しな が ら、今ま で に 得 られ て い る大部分 の 結果 は 、不耕起 と耕 起 とで の 収 量 の 差 は ほ とん ど認 め られな い 。

こ の 新 しい 栽培 法は 経費の 節減 ま た は 高い 能率性あ る い は こ の 両者 を兼ね 備 え て お り、従 来法に 比べ て経済 的 に 優れ て い る 。即 ち 、不耕起栽 培法は 労働力、燃 料 お よび 農機具 (トラ ク タ ー、プ ラ ウ な ど) を節減 で き る か らで あ る。こ れが 本農 法 の 大 きな利点 で あ る。労 働 力 お よ び 農機具 の 節減効果 は 、除草剤が 高 価 で ある た め ある程 度相殺 され る。高 価な除草剤は 、初 期 の 不 耕起栽 培 の 普 及を妨 げる主 な 要囚 で あ っ た 。しか しな が ら、現 在 で は 雑草の 防 除を 耕起 よ りもむ しろ除 草剤 で 行 う方 が 経済的で ある。(持続 的 ・ 環境保全 型 農業 と し て の 不 耕起栽培 畑作 物 の 収量 と土 壌 の 特 性 金 沢 晋 二 郎  https://www.jstage.jst.go.jp/article/dojo/66/3/66_KJ00002481853/_pdf  より)



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