中国経済のプレゼンスの高まり
中国経済のプレゼンスの高まり(世界経済の潮流(2018)より)
世界の名目GDPに占める中国の名目GDPの割合は、急速に拡大している。中国が世界 貿易機関(WTO)に加盟した01年には中国の世界のGDPに 占めるシェアは4%に過ぎなかったが、以降大幅な伸びを示し、17年には中国のシェア は、15%まで拡大している。一方、アメリカの世界のGDPに占めるシェアは、01年には 31%であったところ、17年には24%となり、やや低下した。米中両国で世界のGDPの約 4割を占める計算であり、米中両国の貿易摩擦が世界経済にとって最大のリスクとされ る所以である。
日本は、2017年GDP割合は世界で80兆ドルの6%ほどである。
アメリカの輸入に占める中国のシェアは90年時点では3.1%に過ぎなかったが、90年 代に急速に拡大、2000年には8.2%に達した。中国のWTO加盟以降は更にその拡大を加 速させ、17年には21.6%に達し、EUを超える水準にまで至っている。これは、80年代に日米間の貿易摩擦が問題となった当時に日本からの輸入が占めていた割合(22.4% (86年))に匹敵する水準である。中国も、日本同様摩擦がおきている。
一方、中国の輸出におけるアメリカの位置付けを、中国の統計でデータが入手可能な 1993年以降についてみると、対米輸出は一貫して20%前後のシェアを占めているものの、 その動きはおおむね横ばいであり、それほど大きな変化はみられない。中国の輸出の規模がかなり大きくなっていることがうかがえる。
中国経済は量的規模の拡大は果たしたものの、質的な面で は先進国へのキャッチアップを進める途上にある。産業の高度化のためには、イノベー ションが重要であることから、中国では研究開発への支出を急速に増加させている。あと数年でアメリカに追いつきそうである。現在でも、EUの研究開発への支出額をすでに抜いている。
世界経済の潮流(2018内閣府)https://www5.cao.go.jp/j-j/sekai_chouryuu/sa18-02/index-pdf.html