ニキビは市販のものでどこまで対応できるか?
ニキビは、市販のものでどこまで対応できるか?
ニキビができる原因は、性ホルモン、皮脂分泌の増加、毛穴のつまり、アクネ菌(プロピオニバクテリウムアクネ、Propionibacterium acnes)の増殖が関係しています。
ニキビは、性ホルモンの影響で、皮脂腺が発達し、コメド(面皰)(白ニキビ、黒ニキビ)ができます。そして コメドの中で、アクネ菌がどんどん増殖し、増えすぎた菌に対して、免疫反応がこり、炎症を起こします。そして、赤ニキビになり、さらに進むと黄ニキビになるようです。
尋常性痤瘡治療ガイドライン 2017(日本皮膚科学会)があり、エビデンスに基づいた治療法の推奨度の分類をしております。
分類の仕方は、
A ー行うよう強く推奨する、 A* ー行うよう推奨する、 B ー行うよう推奨する、C1ー 選択肢の一つとして推奨する、C2ー十分な根拠がないので(現時点では)推奨しない 、 Dー行わないよう推奨する、
というものです。
私たちが、日常ではドラッグストアなどを利用することがあるが、そこでどのような選択をしたらよいだろうか、答えは、尋常性痤瘡治療ガイドライン 2017(日本皮膚科学会)に掲載されています。
ドラッグストアでは、
急性炎症期(原則3か月)でできそうなことは、
Aー外用抗菌薬、
C1ーピーリング(グリコール酸,サリチル酸マクロゴール)
C1ー漢方薬(荊芥連翹湯,清上防風湯,十味敗毒湯)
C1ーNSAID(イブプロフェンピコ ノールクリーム)外用
C1ービタミンC外用(テトラヘキシルデカン酸アスコルビル,L-アスコルビン酸-2-リン酸ナトリウム)
C1ーアゼライン酸外用(AZA)
C1ーイオウ製剤外用
が考えられそうである。
症状が治まり維持期になれば、抗菌薬外用はなしになり、これは、面皰に外用抗菌薬は、C2ー推奨しない、となっている。さらに維持期で、炎症がなくなれば、ビタミンC外用、とNSAID外用はなしとなる。また、炎症がない維持期の場合は、漢方薬は、荊芥連翹湯のみとなる。
また、炎症性皮疹に非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)内服は、C2ー推奨しない。ニキビ全般にわたって、ビタミン剤の内服はC2ー推奨しない、となっている。
そして、スキンケアに関して、痤瘡患者に特定の食べ物を一律に制限することや、食事指導は、C2ー推奨しない、となっている。
痤瘡に洗顔は有効で1日2回を、C1ー推奨している。
市販されている外用抗菌薬ですが、オキシテトラサイクリンや、バシトラシンが配合されている市販薬はあります。それらがアクネ菌に効果があるということです。アクネ菌は、比較的広範囲の抗菌薬に効果があります。(抗菌薬インターネットブックより(http://www.antibiotic-books.jp/germs/51 ))
プロピオニバクテリウム アクネス(アクネ菌)は、幅0.4~0.7マイクロメートル、長さ1~5マイクロメートルの無芽胞性のグラム陽性桿菌で、空気の存在下で成育できるものの基本的に酸素のないところを好む通性嫌気性菌です。
アクネ菌は、ほとんど全ての人の皮膚や毛穴におり、表皮ブドウ球菌とともに皮膚常在菌の代表といえます。
通常は何の悪さもせず、むしろ代謝産物であるプロピオン酸や脂肪酸によって皮膚表面を弱酸性に保ち、さらに有害菌の皮膚への定着を防ぐ働きがあると考えられています。
ヒトと共生関係にある菌といえます。
しかし、そんなアクネ菌が増殖しすぎるため、抗菌薬をつかうことになります。抗菌薬の使い方は耐性の問題があるので、使用期間はできるだけ短くする方がいいということです。
*以下抗菌薬の活性をみた論文*
・プロピオニバクテリウムアクネスに対する局所薬剤の抗菌活性:中国上海の病院からの臨床分離株のin vitro研究
この研究は、中国上海の病院に入院した患者から分離されたプロピオニバクテリウムアクネスに対する局所薬剤の抗菌活性を比較することを目的としています。
・・・三重抗生物質軟膏(ネオマイシン/バシトラシン/ポリミキシンB)およびバシトラシンに対する感受性は100%でした。フシジン酸に対する感受性は92.7%でした。硫酸ネオマイシン、エリスロマイシン、およびクリンダマイシンに対する耐性率は、それぞれ11.7%、49.3%、および33.4%でした。クリンダマイシンとエリスロマイシンに対する高い耐性率は、年齢や疾患の持続時間ではなく、性別、以前の治療、疾患の重症度に大きく影響されました。
・にきび患者から分離された Propionibacterium acnesの抗菌薬感受性と遺伝的特徴
背景 プロピオニバクテリウムニキビはニキビ管理の重要なターゲットです。抗生物質耐性が増加し、その臨床効率が低下しています。
目的 にきび患者から分離されたP.座瘡の有病率、抗菌薬感受性パターン、および耐性機序を研究すること。
結果 P.座瘡は83人の患者のうち80人(96%)で分離され、27人の患者は抗生物質に耐性があった(33.7%)。抗生物質耐性群では平均年齢が高かった(20.8±5.8対18.3±3.7、P = 0.02)。・・すべての株はテトラサイクリンとドキシサイクリンに感受性でした。
結論で、特定のテトラサイクリン耐性が予想されましたが、興味深いことに、すべての株が感受性を維持していました。
・尋常性座瘡患者から分離されたプロピオニバクテリウム座瘡の抗菌薬感受性
その結果、我々の結果は、マクロライドに対するP.アクネス耐性が23S rRNA遺伝子の変異によって引き起こされ、日本で増加していることを示しています。