市販水虫薬
市販水虫薬
真菌(カビの仲間の総称)の仲間の皮膚糸状菌(白癬菌)というカビは、その形態から白癬菌属、小胞子菌属、表皮菌属に分類されています。白癬を起こす皮膚糸状菌は世界には40種類以上存在しますが、日本ではこのうちの10種類ほどがヒトに白癬を起こすことが知られています。(日本皮膚科学会 https://www.dermatol.or.jp/qa/qa10/q02.html )
ケラチンに特異的親和性を有し、それを分解する能力を持ち、皮膚及び爪や毛など限局して感染を起こす。
水虫は真菌の、白癬菌に該当し、真菌は、普通人間の細胞の細胞膜は、主にリン脂質からなる脂質2重構造をしており、コレステロールを少し含む、しかし、真菌は、細胞膜に、少しのエルゴステロールを含む。この、人間の細胞膜はコレステロールで、真菌はエルゴステロールという違いにスポットをあて、エルゴステロールに障害を起こすのが、現在主流の市販の水虫薬の作用です。人間にはないエルゴステロールに障害を与えるということは、人間に対する作用でない分、副作用も少ないということにもつながります。
エルゴステロール生合成は、アセチルCoA→アセトアセチルCoA→HMGCoA→メバロン酸→スクワレン➡スクワレンエポキシド→ラノスステロール➡→→エルゴステロール
コレステロール生合成は、アセチルCoA→アセトアセチルCoA→HMGCoA→メバロン酸→イソプレン→ピロリン酸→スクアレン→ラノスステロール→7ーデヒドロコレステロール→コレステロール
アセチルCoAは、グルコースやアミノ酸由来であり、コレステロール生合成は、人では、主に肝臓や小腸の細胞質や小胞体で行われる。
市販の水虫薬は、エルゴステロール生合成の段階を、阻害するものであるが、タイプが2つある。(矢印の➡➡の部分)
1つは、スクワレンに作用する酵素(矢印➡の部分)、スクワレン-2,3-エポキシダーゼを阻害するもの。
もう1つは、ラノスステロールに作用する酵素(矢印➡の部分)、C-14脱メチル酵素を阻害するもの。
この2種類がある。医療機関では、他の酵素に作用するものがあるが、市販されているものはこの2種類だけである。
スクワレン-2,3-エポキシダーゼを(矢印➡を阻害)阻害するものを、アミン系という分類になり、テルビナフィン(ラミシールなど)、ブテナフィン(ブテナブロックVαなど)があります。
C-14脱メチル酵素を(矢印➡を阻害)阻害するものを、アゾール系という分類になり、クロトリマゾール(ピロエースWなど)、ミコナゾール(ダマリンLなど)などがあります。
各酵素を阻害することで、それ以降の生合成が行われず白癬菌が死滅していく。