換気の悪い密閉空間とは

換気の悪い密閉空間

換気の悪い密閉空間(商業施設等)は、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議でもリスク要因の1つといわれている。

ビル管理法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律)における空気環境の 調整に関する基準に適合していれば、①機械換気の方法では、必要換気量(一人あたり毎時30m3)を満たすことになり、「換気が悪い空間」には当てはまらないと考えられます。と厚生労働省は指摘しています。

また、②窓の開放による換気回数を毎時2回以上(30分に一回以上、数分間程度、窓を全開する。) とするやり方もとることができる。とも指摘されています。

( 厚労省サイトより ~ 商業施設等の管理権原者の皆さまへ ~「換気の悪い密閉空間」を 改善するための換気の方法より

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000618969.pdf#search=’%E5%8E%9A%E5%8A%B4%E7%9C%81+%E5%AF%86%E9%96%89+%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A  )

この必要換気量、換気回数については、厚労省のサイトにある、資料を見ると、『仮に、 換気回数を毎時 2 回とした場合、一人あたり換気量は 48m3 /hであり、ビル管理法の基準(一人あたり必要換気量約 30m3 /h) の約 1.5 倍となり、それほど大きな違いはない。』とでてきます。計算すると、ここでの、気積は24m3(約6畳の空間)である。また、この資料のなかには、『豊田(2003)が中学校での結核集団感染において、教室の換気回数 が毎時 1.6~1.8 回と少なかったことを指摘している。渡瀬(2010)は、結核の感染リスクと気積の関係を調べ、接触時間が1時間の場合、気積が 20m3 を下回ると感染 のリスクが高まることを示した。』というものや、 『国際保健機関(WHO (2009))は、換気基準の根拠として、「結核とはしかの拡散」と 「換気回数(部屋の空気がすべて外気と入れ替わる回数。以下同じ。)が毎時 2 回未満 の診察室」の間に関連が見られたとしている(Menzies et al. (2000), Bloch et al.(1985))。』という記載がある。(厚労省サイト、商業施設等における「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気について参考資料 より https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000616069.pdf#search=’%E5%BF%85%E8%A6%81%E6%8F%9B%E6%B0%97%E5%9B%9E%E6%95%B0+%E4%BA%8B%E5%8B%99%E6%89%80’    )この上記3つだけではないが、結核 のデータをもとに、換気回数が想定されているようです。結核は、空気感染をおこし、新型コロナウイルスより感染力が強いのは知られているところである。

ということで、①②いずれかの方法を推奨するとしています。

ただ密閉空間はリスク要因の1つであり、新型コロナウイルス感染を確実に予防できるかは文献等でも明らかになっていない。ということのようです。

換気量、必要換気量、換気回数について、

換気量とは、換気によって単位時間に流入する空気量(m3/h)である。

必要換気量は、室内における汚染物質を許容濃度以下にするために必要な換気量(m3/h)のことです。

求め方は、

V=M/Cs-Co×100

V:必要換気量(m3/h)、M:室内で発生するガス量(m3/h)(二酸化炭素排出量)

Cs:許容濃度(%)、Co:外気中又は給気中の二酸化炭素濃度(%)

この式に、人間の二酸化炭素排出量を、0.02m3/h(地球環境研究センター http://www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/26/26-1/qa_26-1-j.html   )とし、ビル管理法では、二酸化炭素濃度の基準値は、0.1%となっており、大気中の二酸化炭素濃度は0.03%ぐらいですので、式に代入し計算すると、約29m3/hとなります。当然ですが上の人1人が、二酸化炭素1000ppm以下に抑えるための、必要換気量30m3/hとほぼ等しくなります。喫煙者が多い部屋ではビル管理法で浮遊粉じん量が基準値0.15mg/m3以下ですが、それを越えてしまうため必要換気量が、40~50m3/h必要になる場合もあるようです。

コロナウイルスは呼気から排出されるため、この二酸化炭素排出の中にウイルスが含まれることになると考えらる。しかし、この式からも分かるように、許容濃度があるため、排出された二酸化炭素は少し残っていることや、また、大声を出した場合や人同士の密接具合、ウイルスがドアノブに付着している等によるものも考えられ、そのため確実に予防できるとはいえないということでしょう。

換気回数とは、1時間に室内空気が何回置換されるかを示す回数。

換気回数=1時間当たりの換気量(m3/h)/室内気積(m3)

で求められます。換気回数は、室内気積により変わるということです。

よく、住宅での、必要換気量は、この式を変形した、

1時間当たりの換気量(m3/h)=必要換気量=換気回数×室内気積(室内体積)

(必要換気量の計算には換気回数0.5(回/h)を用います)

この式をよく使っているようです。

※換気回数0.5(回/h):換気扇等を1時間動かしたとき、居室の空気の半分(0.5)が外の空気と入替わることをいいます。

また、建築基準法には、単体規定があり、建物自体にまつわる規定のことで、構造や換気、耐震性や防災避難などを定めている。そして、住宅の二酸化炭素濃度は1000ppm以下に抑えることとされています。この基準をクリアするためには、上でも述べている通り、1人当たり1時間に30m3の換気量が必要となりますが、これは4人家族を想定した平均的な戸建て住宅の場合で「0.5回/h」程度の換気回数に相当するようです。そのため、必要換気量の計算に、0.5回/hが使われるようです。これは、1人あたり、室内気積(体積)が、60m3ぐらいあるということです。

余談ですが、換気扇などの機械を使わずに、給排気口やすき間から出入りする換気量の割合を、自然換気回数で表しますが、マンションなどの気密性の高い住宅での自然換気回数は0.2〜0.5回程度とされています。 また、シックハウス対策のため、建築基準法では換気設備の設置義務など、建築材料や換気回数に関連して細かく規定されているようです。

通常の住宅では、換気回数0.5回/hで、二酸化炭素濃度を、1000ppm以下にできるということです。それには、換気扇等を、ずっとつけておくことが大事になりそうです。これは、厚労省がいっているように、必要換気量(一人あたり毎時30m3)を満たす ことになり、「換気が悪い空間」には当てはまらないと考えられます。しかし、新型コロナウイルス感染を確実に予防できるかは文献等でも明らかになっていない。ということです。ですんで、加えて、できるならば窓の開放を行うとよりよいということでしょう。

換気における法関係は、ビル管理法、建築基準法、労働安全衛生法などがある。(  http://www.bungo.or.jp/t-shikai/linksigoto/kikaikanki.pdf     )

ビル管理法は、3,000m2以上の建物 (学校の場合8,000m2 以上)に適用され、労働安全衛生法よりも、CO2などの基準が厳しく、労働安全衛生法は、労働者が執務する事務所に適用される。建築基準法は、全ての居室に適用され、ビル管理法と基準は変わらないが、おおむね基準を満足するものとうものであるが、ビル管理法は、目標基準値を守ることとなっている。

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