オキセサゼイン(市販薬胃薬成分)
オキセサゼイン
一般市販薬でも胃薬として販売されている。
局所麻酔作用があるのは、この成分だけです。ユニークな薬剤と考えます。
特徴は、
胃液内の強酸性(PH1)条件下でも作用する。
胃粘膜局所麻酔薬として胃炎、胃潰瘍などの鎮痛に内服で用いられる。
局所麻酔作用により、胃粘膜の知覚神経を麻痺させ反射性嘔吐を抑える。
胃幽門部、幽門前庭部粘膜に存在するガストリン細胞からのガストリンの遊離を抑制する。そして間接的に胃酸分泌を抑制する。
適応
胃・十二指腸潰瘍に伴う疼痛・酸症状・曖気・悪心・嘔吐・胃部不快感・便意ひっ迫
副作用
オキセサゼインと して 1 日15~40㎎使用した場合(なお、年齢、症状により適宜増減する場合あり)、4%の副作用が報告されている。
0.1~5%未満で、便秘、食欲不振、悪心、口渇、下痢、頭痛、眩暈が報告されている。
(ストロカイン添付文書より)
作用機序は、
作用部位は細胞質側であり、投与された1部は適用部位のPHで、非イオン型(遊離塩基)となり、神経細胞膜を通過する。細胞膜を通過した非イオン型薬物は、細胞質内で、陽イオン型薬物となり、細胞の内側から電位依存Naチャネルを遮断する。そして、Naを流入するのを抑制する。そのことで、活動電位は起こらず、知覚神経における興奮伝導は遮断される。したがって、痛みの伝導は抑制される。
一般に細い神経繊維の方が太い神経繊維よりも局所麻酔薬の作用を受けやすい。知覚神経(痛覚→温覚→触覚)→自律神経→運動神経の順に麻痺させる。
ガストリン遊離抑制について、
ガストリンは、ガストリン細胞から遊離され、血中基準値は30~150pg/ml(空腹時)。
食事の影響で空腹時の2~3倍に増加するので、早朝空腹時に採血する。
ガストリンはヘリコバクターピロリの感染で増加し、除菌で正常化するといわれている。
胃酸が低下すると、フィードバックによりガストリンの分泌が増加する。したがって、血中ガストリンの上昇は、胃酸低下をきたす病態を反映するよい指標となっているようです。また、胃酸分泌抑制剤服用時も高値を示すようです。プロトンポンプインヒビターでは、2~3か月服用で必ずガストリンは上昇するようです。H2ブロッカーでも多少起こるようです。
ということで、オキセサゼインも、ガストリン遊離抑制作用による胃酸分泌抑制作用があるが、ガストリン値はがどのようになるのか?
ガストリン遊離を抑制するので、ガストリン値は低下しそうであるが、
2つほど人間で使用された文献があるようで、その中からは、ガストリン放出の減少につながらず、この薬剤の主要な作用メカニズムではありません。(Taggart GJ, Hansky J. The effect of mucaine on gastrin release in man. Aust N Z J Med. 1978;8(4):397-399. doi:10.1111/j.1445-5994.1978.tb04909.)というものと、タンパク質抽出物の摂取に対するガストリン反応は、アルカリの胃薬を使用した患者よりも有意に低かった。(Barbezat GO, Vinik AI, Grant B. The effect of oral local anaesthetic and alkali on basal and food-stimulated serum gastrin levels in patients with duodenal ulcer. Scand J Gastroenterol. 1978;13(3):321-323. doi:10.3109/0036552780917982)というものもあります。
添付文書には、ガストリン遊離抑制作用として、 Heidenhain pouch イヌを用いた実験では、本薬の経口投与 により、アセチルコリン刺激による胃幽門部からのガス トリンの遊離を抑制する。( Posey, E.L. et al(1971))とあります。
人間に使った場合、個体差や服用期間などいろいろな問題なども考えられますが、ガストリン遊離抑制作用は少し弱めということでしょうか。
市販薬の場合は、長期連用は避け、5回から6回使用して良くならない場合は、医療機関にかかるのが良い。