夏は、システイン配合の市販薬の売れる季節です。
夏は、システイン配合の市販薬の売れる季節です。
システインは、中性アミノ酸の中の、含硫アミノ酸で、2分子のシステインが酸化してジスルフィド結合を形成する。ジスルフィド結合は、共有結合で結合エネルギーは高い。また、グルタチオンの構成成分です。
グルタチオンとは、Glu-Cys-Gly、グルタミン酸、システイン、グリシンからなるトリペプチドである。
システイン作用その1
グルタチオンは、活性酸素を除去し、脂質の過酸化防止に働く、還元型と酸化型が存在し、生体内の酸化還元反応に重要である。
システイン作用その2
薬物代謝は、さまざまな組織で、おこなわれるが肝臓が重要である。
薬物代謝反応の目的は、脂溶性薬物を水溶性薬物に変えて体外に排泄することです。
代謝反応は、第1相反応と第2相反応の2つに分類される。第1相は、酸化、還元、加水分解により、薬物に極性基を導入する反応である。第2相反応は、抱合反応です。
ざっくりであるが、第1相反応で、やや水溶性にして、第2相反応でかなり水溶性にするというこです。極性のある水溶性の薬物はそのまま尿中、又は胆汁中に排泄され、第1相反応でも、第2相反応でも、薬物は尿中又は、胆汁に排泄される。その薬物代謝の、抱合反応の1つにグルタチオン抱合がある。グルタチオン抱合は、グルタチオン存在下にグルタチオンSー転移酵素が触媒し抱合反応をおこす。酵素は、細胞質に存在する。多くの薬物の解毒、排泄に関係する。
システイン作用その3
システインはメタロチオネインの構成アミノ酸でもあり、メタロチオネインはI型からIV 型まで存在するようです。I、II型は肝臓、腎臓、膵臓、心臓などほとんどの組織に分布している。III型は特に脳に局在するが、小腸、膵臓、舌、腎臓などでも検出される。IV型は扁平上皮細胞にみられるが詳細は不明である。メタロチオネインは、重金属に結合してその毒性を軽減させる。61個のアミノ酸で構成され、約1/3(20個)のシステインが遊離している。分子量は約6000~7000である。その遊離システインのーSH基を介して金属イオンが結合する。通常の生体内では、大部分は、亜鉛と結合した状態で存在する。金属元素により、遺伝子発現が誘導される。そして、メタロチオネインは、酸化型のジスルフィド結合は形成しておらず、全て還元型のーSHであるため、抗酸化作用を有する。活性酸素を消去する作用がある。
システイン作用その他
いくつかのSHアミノ酸(LおよびDシステイン1%)とアセトアルデヒド(50 microM)の間の縮合反応をin vitro実験で調べた。水溶液中、遊離アセトアルデヒドは、L-システインにより41.3%、D-システインにより36.4%に減少した。ヒト血液培地との反応では、培地を過塩素酸試薬で除タンパク質した後、アセトアルデヒドがL-システインにより47.0%、D-システインにより43.8%に減少した。D-システインは、アセトアルデヒドとの反応の安定性が非常に高いようです。
いくつかのアミノ酸がアルコール代謝に及ぼす影響を雄のICRマウスで調べた。
D-システインとL-システインを投与されたグループでは、マウスは明らかに速い酸化とエタノールの消失を示しました。また、Lーアラニンも調べられております。
結論として、したがって、L-または/およびD-システイン、およびL-アラニンは、大量飲酒による急性アルコール中毒に有効であると推定された。
Tsukamoto S, Kanegae T, Nagoya T, et al. Effects of amino acids on acute alcohol intoxication in mice–concentrations of ethanol, acetaldehyde, acetate and acetone in blood and tissues. Arukoru Kenkyuto Yakubutsu Ison. 1990;25(5):429-440.
メラニンは皮膚、髪、目の自然な色素で、茶色から黒色のユーメラニンと黄色から赤褐色のフェオメラニンの2つの主なタイプに分類できます。メラニンの生合成はメラノソームで行われます。
メラニン形成は多段階のプロセスであり、アミノ酸L-チロシンのドーパキノンへの変換から始まります。ドーパキノンにシステインまたはグルタチオンを添加すると、中間体が形成され、続いて変換され、重合して最終生成物であるフェオメラニンが生成されます。チオール化合物が存在しない場合、ドーパキノンは分子内環化と酸化を受けてドーパクロムを形成します。ドーパクロムは、5,6-ジヒドロキシインドール(DHI)または5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸(DHICA)に変換されます。ユーメラニンは、DHIとDHICA、およびそれらのキノンの重合によって形成されます。Rzepka Z, Buszman E, Beberok A, Wrześniok D. From tyrosine to melanin: Signaling pathways and factors regulating melanogenesis. Postepy Hig Med Dosw (Online). 2016;70(0):695-708. Published 2016 Jun 30. doi:10.5604/17322693.1208033
作用は全てではないが上記とあわせて、そしてシステインはメラニン生成に関連する作用のメラニン色素の体外排出作用があるようです。私はその他の作用と分類わけしましたが、その他の作用がクローズアップされ市販薬では、よく紹介されています。
システインは、しみ、そばかす、日焼け、かぶれなどの対策として、ビタミンCや、ビタミンB類などとともに用いられます。
また、アルコール脱水素酵素、アセトアルデヒド脱水素酵素を活性化する作用を利用し、二日酔いの改善にも用いられます。
夏は、システイン配合の市販薬の売れる季節です。