副作用の食欲亢進は、

副作用の食欲亢進は、

ヒスタミンは、鼻詰まりや、かゆみを起こす厄介な作用がありますが、脳内に入ると、満腹中枢を刺激して、食欲抑制と、交感神経を刺激して、脂肪燃焼を期待できるとされています。(かんたん、わかる、プロテインの教科書 https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=9&category=beauty    )と、記載があります。このことを、見て、そうか、シプロへプタジン(ペリアクチン)の副作用の食欲亢進作用は、ヒスタミンをブロックするためにおこるのかと考えてしまいました。しかし、そうではなさそうなんです。

抗アレルギー薬の、シプロヘプタジン塩酸塩水和物(ペリアクチン)の、副作用(5%以上又は頻度不明)で食欲亢進が記載されており、食欲亢進の作用機序としては、セロトニン2C(5HT2C)受容体遮断作用とヒスタミンH1受容体遮断作用により、摂食を中止する信号が遮断されたりグレリン(視床下部の摂食中枢を刺激する成長ホルモン分泌促進ホルモン)の分泌が促進することが考えられている。(ファルマスタッフ https://www.38-8931.com/pharma-labo/quiz/post_104.php )とのことです。

しかし、クロルフェニラミンの添付文書をみると、食欲亢進や体重増加ということは記載がありません。また、アレジオン、アレグラ、クラリチンも特に、食欲亢進、体重増加という副作用の記載はありません。エバスチンでは、0.1%未満で体重増加の副作用が報告されているようです。

また、下の文献から、現在は販売が中止されている、アステミゾールも体重増加がありえそうです。

「季節性アレルギー性鼻炎の治療と予防におけるエバスチンの臨床効果」

治療の全体的な有効性は、エバスチン群で有意に優れていると判断されました。どちらのグループでも、研究終了時に体重の増加はありませんでした。有害事象を報告した患者の割合は、頭痛、傾眠、吐き気、口渇、胃の不調、食欲増進。

研究の終わりに、アステミゾールで治療された患者の体重は有意に増加しましたが、エバスチン群では観察されませんでした。有害事象を報告した患者の割合は、アステミゾール群で有意に高かった(34.9%対20.7%; p = 0.02)。したがって、エバスチンは季節性アレルギー性鼻炎の有用な代替治療法です。

Peláez A. Clinical efficacy of ebastine in the treatment and prevention of seasonal allergic rhinitis. Drugs. 1996;52 Suppl 1:35-38. doi:10.2165/00003495-199600521-00009

どうして、違いが起こるのかを考えますと、下の文献がありました。

「スズメバチVespa basalisの毒液から分離された新しいマストパランの構造と生物活性。」

スズメバチの毒液からのペプチドは、ラット腹腔肥満細胞からのヒスタミンの遊離を引き起こし、ラット足に浮腫を誘発しました。ただし、後者の効果は「抗セロトニン」(抗5-ヒドロキシトリプタミン)(シプロヘプタジン)によって抑制されましたが、抗ヒスタミン(クロルフェニラミン)では抑制されませんでした。

Ho CL, Hwang LL. Structure and biological activities of a new mastoparan isolated from the venom of the hornet Vespa basalis. Biochem J. 1991;274 ( Pt 2)(Pt 2):453-456. doi:10.1042/bj2740453

研究者の人にとって、シプロへプタジンは、抗セロトニンと表現しています。シプロへプタジンとクロルフェニラミンとの大きな違いは、この、抗セロトニンと抗ヒスタミンの違いということのように考えられます。

抗セロトニンといえば、抗精神病薬の、リスぺリドン、オランザピン、アリピプラゾールなどがありますが、食欲亢進又は体重増加、が頻度不明の副作用にあります。しかし体重減少の頻度不明の副作用の報告もされていますが、、。

これらをみると、抗ヒスタミンも関連するのでしょうが、抗セロトニンがやや大きく食欲に影響すると考えられる。

食欲不振時に使われる薬剤は、以下にかかれていた。

「進行がん患者における食欲不振および悪液質の臨床管理」

現在のデータは、酢酸メゲストロールまたは他のプロゲステロン剤が、食欲だけでなく全体的な栄養状態にも影響を与えるため、悪液質の主な症状として重度の食欲不振があり、予想される生存が数週間、または数か月で測定できる場合に有用であることを示唆しています。

コルチコステロイドは短期間で食欲を高めることが示されています。

シプロへプタジン、ヒドラジン硫酸塩、およびカンナビノイド食欲に有益な効果があることが示唆されています。

Bruera E. Clinical management of anorexia and cachexia in patients with advanced cancer. Oncology. 1992;49 Suppl 2:35-42. doi:10.1159/000227126

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