サリチル酸製剤貼付剤について
サリチル酸製剤貼付剤について
サリチル酸製剤貼付剤は、他の消炎鎮痛剤の貼付剤に比べ、注意すべき副作用が、過敏症と発赤、接触性皮膚炎などで、かなり安全に使用できる薬剤と考えます。
私は、購入時に、注意事項の、妊娠していても使えるのか、使えないのかを確認する時があります。サリチル酸製剤は、注意事項に、妊娠中又は、妊娠している可能性がある人は、記載されていない。他の非ステロイド性消炎鎮痛剤貼付剤の、注意事項には、妊娠又は、妊娠している可能性がある人は使用しない旨、記載がある。
サリチル酸製剤(MS温シップタイホウ)の医薬品インタビューフォームをみると、妊婦、産婦、授乳婦等への投与は、該当しない、となっている。
※医薬品インタビューフォームとは、医療用医薬品添付文書を補足する資料。総合的な医薬品解説書で、日本病院薬剤師会からの依頼により作成される。各種専門書、医薬品集、教科書は、3次資料になりますが、インタビューフォームも3次資料です。
臨床試験で確認された血中濃度、ヒトの背中に 4 枚(560cm2 )を貼付したときの血中サリチル酸濃度が示されており。 貼付後 6 時間で血中のサリチル酸濃度は最大になり、その後少しずつ減少し 12 時間 後には最大値の 75%にまで減少した 。最高血中濃度約3.5μg/ml、3時間後で、約2.8μg/mlとなっています。
血中に、わずかですがサリチル酸が吸収されています。
そこで、サリチル酸ナトリウム注射(サルソニン静注)のインタビューフォームを見てみました。
治療上有効な血中濃度は、鎮痛・解熱効果 25~50μg/mL 抗炎症・抗リウマチ効果 150~300μg/mL (外国データ)となっております。
サリチル酸製剤貼付剤4枚貼付時とは、10倍以上の開きがありますが、サリチル酸は、注射の時は、妊娠等に影響があるのかどうかをみてみます。
血液-胎盤関門通過性、妊娠 5~6 ヵ月(19~24 週)の母親に 30mg/kg を静注した結果、96 分後に母親、胎児とも血中サリチル酸濃度がほぼ等しくなり、以後平行して減少した。胎児組織の最高濃度は腎でみられ、最低は脳であった(外国データ)。
妊娠に関連して、乳汁への移行性も記載があり、母親が 20mg/kg を摂取した場合、母乳中に 3~4mg の排泄があった(外国データ)。
サリチル酸ナトリウムは動物実験で催奇形作用が報告され ている。
妊娠末期のラットに投与した実験で、弱い胎児の動脈管収縮が 報告されている。
これらのことから、妊娠又は妊娠している可能性のある婦人には、投与しないこととなっています。
また、妊娠に関連して非ステロイド性消炎鎮痛剤を長期間投与されている女性におい て、一時的な不妊が認められたとの報告があるとも記載がある。
また、排泄の記載もあり、健康成人に 579.7mg の経口投与後、24 時間以内にサリチル酸と代謝物が尿中に 100%近く排泄される(外国データ)。
サリチル酸製剤貼付剤は、安全性はかなり高いですが、完璧をもとめるのなら、妊娠しているのなら、使用しない方がいいと考えます。