カルニチン

カルニチン

カルニチンは、脂肪酸のβ酸化(脂肪酸の分解)に関与する。カルニチンは、リジンとSーアデノシルメチオニンから合成されるビタミン様物質です。脂肪酸の合成は、主に細胞質ゾルで行われ、分解はミトコンドリア(マトリックス内)で行われる。

脂肪酸は、細胞質ゾルで、アシルCoA合成酵素によって、ATPを消費して、アシルCoAに活性化される。アシルCoAは、ミトコンドリア外膜を通過して、カルニチンアシルトランスフェラーゼ(CAT)により、カルニチンと反応して、アシルカルニチンとなりミトコンドリア内膜を通過する(律速)。ミトコンドリアマトリックスに入った、アシルカルニチンは再びアシルCoAとなり、ミトコンドリアマトリックス内でβ酸化を受ける。カルニチンアシルトランスフェラーゼのうち、長鎖脂肪酸に特異性をもつ酵素は、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼー1(CPTー1)というようです。そのアシル化も律速段階の1つです。

CPT-1は、脂肪酸生合成の中間体であるマロニルCoAによって、阻害される。この阻害によって、脂肪酸の合成と分解をが逆相関させることで、脂肪酸を量的に調節することができるようです。

マトリックス内で、アシルCoAが、β酸化を受けて分解されるたびにアセチルCoAを生じる。飽和脂肪酸の場合は、1回のβ酸化で、1分子のアセチルCoA、FADH2、NADHを生じる。アセチルCoAha、クエン酸回路でさらに酸化され、ATP生成に寄与する。FADH2、NADHは電子伝達系・酸化的リン酸化でATP生成に利用される。

これらから、カルニチンは、脂肪酸を分解するのに関与するのですから、服用したら痩せるのかということが気になります。以下の2つの文献の概要をみると、2016年の時点では、体重だけだったのが、2020年には、体重、BMI、及び脂肪量に適度の減少効果となっています。

「(L-)カルニチンが成人の体重減少に及ぼす影響:無作為化比較試験の系統的レビューとメタ分析」

結論、カルニチンを摂取すると体重が減少したと結論付けます。となっています。

Pooyandjoo M, Nouhi M, Shab-Bidar S, Djafarian K, Olyaeemanesh A. The effect of (L-)carnitine on weight loss in adults: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Obes Rev. 2016;17(10):970-976. doi:10.1111/obr.12436

「l-カルニチン補給が体重減少と体組成に及ぼす影響:用量反応分析を用いた37件のランダム化比較臨床試験の系統的レビューとメタ分析」

結論、l-カルニチンの補給は、特に過体重/肥満の成人の間で、体重、BMI、および脂肪量に適度な減少効果をもたらします。となっています。

Talenezhad N, Mohammadi M, Ramezani-Jolfaie N, Mozaffari-Khosravi H, Salehi-Abargouei A. Effects of l-carnitine supplementation on weight loss and body composition: A systematic review and meta-analysis of 37 randomized controlled clinical trials with dose-response analysis. Clin Nutr ESPEN. 2020;37:9-23. doi:10.1016/j.clnesp.2020.03.008

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