高尿酸血症・痛風と、機能性表示食品の尿酸値高めの方が服用する成分
高尿酸血症・痛風と、機能性食品の尿酸値高めの方が服用する成分
性別・年齢を問わず、血清中の尿酸溶解濃度が、7.0mg/dLを超えるものを高尿酸血症と定義している。痛風は、高尿酸血症が、持続して関節腔内に析出した尿酸塩が引き起こす関節炎であり、中年男性に多い。
尿酸は、核酸のプリン塩基の最終代謝産物であり、健常時は、約2/3は尿中、約1/3は糞便中に排泄される。
高尿酸血症の原因には、尿酸の産生が過剰になる場合(尿酸産生過剰型、約10%)と、排泄が低下する場合(尿酸排泄低下型、約60%)、及びそれらの混合型がある。
痛風の分類としては、原因が不明なもので、痛風の90%以上を占める。遺伝的素因と環境因子が関係するといわれている。大量の肉食、カロリー過剰、脂質異常症、アルコール過飲、肥満などが要因です。アルコールは、プリン体含有量に関わらずアルコールの代謝により尿酸が産生され、高尿酸血症になりやすい。
他は、続発性痛風で、主に腎疾患や、血液疾患という基礎疾患があり、その結果起こる痛風で、頻度は少ない。
治療は、痛風関節炎の発症を防ぎ、腎障害(痛風腎)や尿路結石を発症・進展させない為に、血清尿酸値を4.0~6.0mg/dLのコントロールする。同時に、合併する生活習慣病や尿路結石に対して、生活指導、食事療法、尿路管理を行う。
高尿酸血症治療方針
血清尿酸値>7.0mg/dL(高尿酸血症)で、痛風関節炎又は痛風結節
ありの場合→生活指導→薬物治療
血清尿酸値>7.0mg/dL(高尿酸血症)で、痛風関節炎又は痛風結節(なしの場合)
なしの場合で、血清尿酸値<8.0mg/dLの場合→生活指導
なしの場合で、血清尿酸値≧8.0mg/dLの場合→合併症(腎障害、尿路結石、高血圧、虚血性心疾患、糖尿病、メタボリックシンドロームなど)ありの場合→生活指導→薬物治療
なしの場合で、血清尿酸値≧8.0mg/dLの場合→合併症(腎障害、尿路結石、高血圧、虚血性心疾患、糖尿病、メタボリックシンドロームなど)なしの場合→血清尿酸値<9.0mg/dLの場合→生活指導
なしの場合で、血清尿酸値≧8.0mg/dLの場合→合併症(腎障害、尿路結石、高血圧、虚血性心疾患、糖尿病、メタボリックシンドロームなど)なしの場合→血清尿酸値≧9.0mg/dLの場合→生活指導→薬物治療
(日本痛風・核酸代謝学会(編):高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(第2版)メディカルレビュー社、2010)
生活指導には、食事療法、飲酒制限、運動の推奨がある。( 高尿酸血症・痛風の生活指導 https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0052/G0000210/0033 )
ガイドラインでは、血清尿酸値>7.0mg/dL(高尿酸血症)で、痛風関節炎又は痛風結節なしの場合で、血清尿酸値<8.0mg/dLの場合→生活指導となり、
血清尿酸値>7.0mg/dL(高尿酸血症)で、痛風関節炎又は痛風結節なしの場合で、血清尿酸値≧8.0mg/dLの場合→合併症(腎障害、尿路結石、高血圧、虚血性心疾患、糖尿病、メタボリックシンドロームなど)なしの場合→血清尿酸値<9.0mg/dLの場合→生活指導となる。
血清尿酸値>7.0mg/dL(高尿酸血症)で、痛風関節炎又は痛風結節なしの場合で、合併症なしの場合は、血清尿酸値<9.0mg/dLであれば薬物治療は開始されないということです。
薬物治療がされないときに、尿酸値を下げるために、機能性表示食品等を服用したくなるように考えます。
機能性表示食品の場合は、T社の、尿酸値の高めの方のタブレットは、尿酸値は、5.5mg/dL~7.0mg./dLの方となっている。だから、尿酸値が7.0mg/dL以上の場合は、医療機関で相談をしたほうがいいでしょう。
基本的に、尿酸値を測るには、検診や医療機関となるでしょう。外国の場合は、自宅でも測定できる測定器が市販されているようですが、日本では手に入りにくいです。(アマゾンでは販売しています)
この辺りは、少しもどかしいですが、血液検査キットのようなもので依頼することもできます。
医療機関では、高尿酸血症治療薬として、代表的なものは、尿酸生合成阻害薬と、尿酸排泄促進薬があります。
生体物質で核酸のプリンヌクレオチドが分解していくときに、キサンチンオキシダーゼという酵素が作用し尿酸になる。この酵素を阻害するのが、尿酸生合成阻害剤です。
そして、尿酸は、尿として排出されるが、尿細管で再吸収される。また、尿細管で分泌もされる。この再吸収するのを阻害するのが、尿酸排泄促進薬です。尿細管での分泌は、阻害する薬物と、阻害しないものがある。尿細管での分泌を阻害する場合は、再吸収抑制作用の方が強いので、結果的に尿酸排泄が促進される。
機能性食品で尿酸高めの方が服用する成分はどうか。
尿酸の高めの方の機能性表示食品の成分は、アンセリンは動物の筋肉中に含まれているペプチドで、ルテオリン等はポリフェノールのフラボノイドが有効成分です。
ルテオリンのことを少し調べました。
「キサンチンオキシダーゼに対するルテオリンの効果:ドッキングシミュレーションと融合する阻害速度論と相互作用メカニズム」
概要
キサンチンオキシダーゼ(XO)は、ヒトの代謝においてヒポキサンチンとキサンチンを尿酸に触媒します。尿酸の過剰産生は高尿酸血症を引き起こし、最終的に痛風や他の疾患を引き起こします。ルテオリンはセロリとピーマンの主要成分の1つであり、XOに対するその阻害活性とその相互作用メカニズムは、分子シミュレーションと組み合わせたマルチ分光法によって評価されました。ルテオリンは(2.38±0.05)×10(-6)mol l(-1)の阻害定数(Ki)値で競合的にXOを可逆的に阻害することがわかりました。ルテオリンは単一の結合部位でXOに結合でき、その結合は主に疎水性相互作用によって駆動されました。同期蛍光および円偏光二色性スペクトルの分析により、ルテオリンとの相互作用によりXOの微小環境と二次構造が変化することが示された。
Yan J, Zhang G, Hu Y, Ma Y. Effect of luteolin on xanthine oxidase: inhibition kinetics and interaction mechanism merging with docking simulation. Food Chem. 2013;141(4):3766-3773. doi:10.1016/j.foodchem.2013.06.092
「ルテオリン-4′-O-グルコシドとそのアグリコン、Gnaphalium affine D. Donの2つの主要なフラボンは、動物モデルにおける高尿酸血症と急性痛風性関節炎の活動に抵抗します」
結果: ルテオリンとルテオリン-4′-O-グルコシドは、高尿酸血症と痛風の治療に強力な臨床効果を示しました。2つのフラボン高尿酸血症マウスでmURAT1のレベルを下げ、尿酸(UA)排泄を高め、高尿酸血症誘発性腎機能障害を改善するXO活性を阻害することにより、強力な効果があることを観察しました。さらに、ルテオリンおよびルテオリン-4′-O-グルコシドは、MSU結晶によって引き起こされる足の腫れおよび炎症も緩和しました。さらなる調査は、ルテオリンおよびルテオリン-4′-O-グルコシドがIL-1βおよびTNF-αのレベルを低下させることにより炎症の症状を改善したことを示唆しました。
結論: 本研究は、ルテオリンとルテオリン-4′-O-グルコシドが高尿酸血症と痛風性関節炎の治療薬として開発できることを示唆しています。
Lin Y, Liu PG, Liang WQ, et al. Luteolin-4′-O-glucoside and its aglycone, two major flavones of Gnaphalium affine D. Don, resist hyperuricemia and acute gouty arthritis activity in animal models. Phytomedicine. 2018;41:54-61. doi:10.1016/j.phymed.2018.02.002
また、ルテオリンは、他に、抗炎症作用、抗ガン作用、神経保護作用、抗不安作用、抗白内障作用などが、報告されています。