物質依存の経過について
物質依存の典型的な経過を提示するのは意外と難しいということのようです。
まず物質使用開始年齢にばらつきが大きい。
しかしながら14歳未満から習慣飲酒を始める者は、21歳まで飲酒しなかった者と比べて少なくとも3倍以上アルコール依存になりやすいといわれている。
同様に16歳の時点で大麻を使用し始める者の方が、21歳時点で大麻依存と診断される可能性が高いということもいわれている。
依存症は長い時間をかけて一進一退を繰り返す性質をもっており、依存や乱用といった診断がなされてからも、長年にわたって物質使用に伴う諸問題や関連した生活障害が続く。
ただし数多くの研究成果は、ほとんどの患者で必ずしも一本調子に物質乱用が進行していくわけではないことを示唆しているようである。
たとえば過去に物質依存と診断されたことのある者であっても、通常は大量使用の時期と、比較的しらふだったり問題のない適量使用であったりする時期とが交互に続く経過をたどることが多い(Anglin、Hser、&Grella、Mckay&Weiss)。
その1例として、青年男性のアルコール乱用の経過を1940~90年頃まで長期にわたって前向きに追跡した縦断研究の成果がある。(Vaillant)。アルコール乱用の発症平均年齢はおよそ35歳であり、40歳を過ぎるとアルコールを乱用し続ける者の数は徐々に減少していく。
そして最終的にはアルコール乱用者の30%ほどが断酒か節酒を達成していたいうこです。
物質依存もうまくいけば改善できるということのようである。