投資と寺院について
ブローデル(フェルナン・ブローデル(Fernand Braudel、1902年8月24日 – 1985年11月27日)はフランスの歴史学者。)は、フランチェスコ・グィッチァルディーニの「イタリア史」を引いて、16世紀のイタリアは山のてっぺんまでワイン畑になっている、と書いています。
これは、当時のワイン畑は、最も利益率の高い産業だったようです。しかし、そのワイン畑が、山の頂上までうまっていたということです、もう投資先がないということです。日本も同じように、投資先がなくなって、公共投資をした。そして、
定期便のない飛行場やたぬきしか走ってないと揶揄される高速道路をつくってしまったようです。投資先がない点は5世紀前のイタリア人も今の日本人も同じですが、雇用と収益性の観点から考えると、残念ながらイタリア人のほうが1枚も2枚も上手だと思います。イタリア産ワインは数世紀後の今でもブランド価値を保ち、高価な値段で外国人が購入します。ルターが堕落していると言って非難した、免罪符でお金を調達してつくった豪華絢爛な寺院はイタリアの重要な観光産業です。世界中から年間4600万人がイタリアに観光に訪れます。(資本主義という謎 水野和夫・大澤真幸)
このことから、短絡的に考えると、ワインと、寺院にお金をかければ、雇用と収益性が改善できるということになるかもしれません。
そこで寺院を考えてみたいが、日本の文化庁の、予算は総額1000億円程度で、そのうちの、文化財の保護整備・活用及び文化拠点の整備に関する予算が総額500億円程度のようです。
国宝や重要文化財の修理には、所有者の財政状況に応じて50~80%の補助がでる。上乗せする地方自治体もあるということです。
デービット・アトキンソンさんは、国宝消滅 イギリス人アナリストが警告する「文化」と「経済」の危機という本の中で、観光立国を目指すならば、文化財にもっと投資しなけくてはならいといっています。
フランスなどは、GDPの0.86%を文化予算としている。イギリス0.23%で、日本は0.12%といっています。日本は観光業を考えない場合の、コストしか考えていないと言っています。また、文化財の入館料が日本は安すぎるということも言っています。今の、世界の主な文化財の入館料は、日本の文化財の2倍から3倍くらいの価格設定のようです。
また、寺院の修理などの職は、一人前になるのに10年以上かかるとかもよく聞きます。その制度もかえていった方がいいとも言っています。
しかし、日本の未来を考えると、もう少しお金をかけて、投資をしてもいいのかなという感じがします。